Zantö インタビュー キミにカイシンのイチゲキ。「基本的にバンドは音遊び、その中で良さを追求する」

2018.7.4


Zantö | キミにカイシンのイチゲキ。「基本的にバンドは音遊び、その中で良さを追求する」
Zantö [L to R:ナカヤマシンペイ(Dr)、美登一(Ba)、塔山忠臣(Vo)、藤木寛茂(Gt)]

2017年11月の結成当初から話題を集めているZantö。塔山忠臣(Vo./ex.0.8秒と衝撃。)、藤木寛茂(Gt./ex.HaKU)、美登一(Ba./THE RODS/ex.another sunnyday)、ナカヤマシンペイ(Dr./ストレイテナー)という個性的なミュージシャン達が結成したロックバンド。今回、フルアルバム『Kill KATANA』発売のタイミングで、下北沢サウンドクルージング出演直前にお邪魔させていただき、お話をうかがいました(取材時不在だった塔山さんのインタビューは記事の後半に掲載)。

 

バンド名の由来

——よろしくお願いします。Zantöとしてのインタビューは初でしょうか?

ナカヤマ:よろしくお願いします。RooftopでSMORGASと対談はしましたが、自分達のタイミングでインタビューというのは初めてですね。

——Zantöというインパクトのある名前の由来を教えてください。

ナカヤマ:語感が良かったことが一番です。それと塔山を入れる時に「THE◯◯ズ」みたいな名前だと入ってくれないんじゃないかと。僕としてはもともと“残党”という意味合いで考えていたんだけれど、塔山から「斬る刀でZantöだと思って僕はやります」と言われて、なるほどそういう解釈もあるんだと。今はそういう感覚でやってます。

——なるほど。メンバーが集まる前にバンド名のアイデアはあったということですね。

ナカヤマ:意外だったんですけど、ググってみたら誰も使ってないなと思って。美登に「ザントウって良くない?」って言ったら「いや、それ新宿ACBでしかできないバンド名っすよ」って言われました(笑)。

一同:(笑)

美登:漢字のイメージだったから(笑)。パンチがすごいなと。


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——Zantöの“o”にウムラウトがついてることも気になりました。

美登:Motörheadとかそうですね。

ナカヤマ:Motörheadはメタルの始祖みたいな言われ方してるけど「俺たちはロックバンドだし、あらゆるジャンルの人たちに好かれるバンドなんだ」って言ってるんですよ。僕らもミクスチャーって言われますけど、それ以前にロックバンドだし、Motörheadも好きんなんで、そういう考え方に近い発想ではあります。

美登:いいアクセントになってますし。

藤木:あれどうやってPCで打つんですか?

美登:いっつも忘れるんだよなぁ……(笑)

 

「10曲揃ってみたらこういうアルバムになった」

——今回のアルバムを通して一貫したコンセプトはありますか?

美登:方向は一つに向かって作れたなっていうのはあります。

ナカヤマ:まだ僕らがどんなバンドか分からなかったんで、一曲一曲作ってましたね。「アルバムを作ろう」と言うよりは、一曲一曲作っていって、10曲揃ってみたらこういうアルバムになったという感じです。

——曲順に関して意識したところはありましたか?

ナカヤマ:曲順は塔山が一番こだわりがあるんじゃないかな。もともとのコンポーザーが塔山なんで、塔山が決めた案が良いんじゃないかなと。すりあわせてみたら、他のメンバーの意見とも近かったので、彼の案になりましたね。

——ジャケットのアートワークについてですが、猫ちゃん……ですよね?

美登:ジャケットについては、ライブのリハーサル終わりで、4人でジャケット案について相談していた時に決まりました。塔山くんが「猫ジャケどうですか?」っていきなり言いだして。満場一致で即決でしたね。僕が猫を飼っているっていうのもあって素材には困りませんし(笑)。今回このために改めて猫を撮ったんですけど、猫って動くから真正面でバッチリ撮るのってけっこう難しくて。ベストショットまでに2〜3日を要しました(笑)。


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Zantö『Kill KATANA』ジャケット

——2〜3日も!向き合って撮影してるところを想像すると面白いですね(笑)。話は変わりますが、今日は下北沢サウンドクルージングで下北沢全体が盛り上がってますよね。Zantöのライブが楽しみです。

ナカヤマ:出演が、シネマ(cinema staff)の裏なんだよなー。見たかったし見て欲しかった(笑)。

——みなさん交友関係が広いですよね。

ナカヤマ:やっぱりキャリアがそれなりに長めなんで。僕はメジャーだけで15年、ドラマーとしては20年プレイしています。Zantöもその期間のあいだに出会った人間の中で“漂ってる連中”を集めた感じですね。

一同:(笑)

 

「やるからにはデカく」

——下北沢でのライブが多いようですが、今後のZantöのライブについてはどういう方向性でしょうか?

ナカヤマ:小さいライブハウスも大好きですが、やっぱりやっていく限りはスケールをデカくしていきたいですね。アルバム出すのもそのためだし、取材を受けるのもそのためだし。とにかく、やるからにはデカく。

——ネット的な質問もさせていただきたくて、メンバーさんの中で流行っているアプリやデジタルツールなどありますか?

藤木:やっぱり色んなデータを共有することが多いので、Dropboxとか……

美登:寛茂(藤木)は容量アップグレードしてくれないけどね(笑)。

ナカヤマ:俺もしてないな(笑)。

——バンドメンバー内で、好きな曲の共有のためにSpotifyなどでプレイリスト作ってるバンドさんもいますよね。アプリも活用しているものがあれば教えてください。

美登:そのプレイリストのシェア面白いですね!寛茂はやっぱ口頭で言っても聴いてくれないもんね。

藤木:(笑)

ナカヤマ:寛茂のスマホになんのアプリ入ってるか見てください。多分ろくなの入ってないですよ(笑)。

藤木:格闘ゲームとか(笑)。


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——ネットの話でいうと、1月にリリースされた最初の音源「Zantö」からデジタル配信をされていますよね。

ナカヤマ:美登が「便利だから使っていいですか?」って言いはじめて。

美登:最初の音源はパッケージを出す予定はなくて、デモみたいな感じで出したかったっていうのがありましたし、手軽なんでやってみたかったというか、まぁ実験的な感じです。

 

デジタルも有効に活用

——ストリーミングなど、音楽流通では新しい流れになりつつありますが、そのあたりについてミュージシャンとして感じていることはありますか?

ナカヤマ:バンドマンは音楽作って、ライブやって、伝えてってことしかないから。それ以外バンドマンってやることないかなと。バンドってどうしてもデジタルの対局にあるものだから。


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美登:デジタルはうまく使ってやっていきたいというか、例えばSpotify for Artistを見ると今日はどの辺りの人が聴いてくれてたなとか面白いものが見れますよね。受注生産とかも良い仕組みだなと思います。こういうことには柔軟に取り組んでいきたいと思ってます。

——最後に、Zantöに反応しているお客さんは、音楽だけではなくメンバーさんの個人的な感性にも興味を持っている人が多い気がしますが、普段のメンバーさんの生活も少し教えていただきたいです。

ナカヤマ:俺と寛茂は、キックボクシングやってますね。目指せ武闘派という感じで(笑)。スタジオの合間も、いかに実用的な体を作るかっていう話をしてます。

美登:そのうち試合も出るようです(笑)。

——本日はライブ前にも関わらずお時間をいただき、ありがとうございました!


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(以降、塔山さんのインタビュー)

 

基本的にバンドは音遊び

——あたらしいアルバムを聴いて感じたのは、ここまで引き算しつつストレートな音が出てるというのがあって、とても好きな作品です。歌われていることも哲学的な一方、単語一つ一つはシンプルというか。

塔山:僕は普段、色んなスタイルの音楽を聴くんですが、そのそれぞれに自分なりの“センス耳”みたいなもので聴いていて。それはリスナーの時もプレイヤーになっても変わることはありません。今回はナカヤマさんから「こういう感じのサウンドスタイルでやりたい」というハッキリとした方向性があったので、僕の中にもあるそのサウンド愛へのカッコ良さを追求した結果です。

——「DON’T THINK DON’T FEEL -KATANA MIX-」では力強い行進のような弦が聴けたり、「NO FUTURE DEAD ARMY」は懐かしい雰囲気があったり、「CLIMB THE LINE」ではチャレンジングなアレンジが印象的だったりと、色んな姿が見えました。“真剣”と“遊び”が共存しているようなイメージを受けたのですが、ステージ上でもこういったノリは自然と出ているのでしょうか?

塔山:そうですね、基本的にはバンドなんて音遊びだと思ってるんで。じゃなきゃ、聴く人もつまらないでしょう。その中で良さを追求する。以前一緒にバンドをやっていたドラマーがリハーサルでひと通りドカドカシャンシャン、ドラムを叩いたあとでふいに『なんてうるさい楽器なんだ!』って言ってた時に僕も、「わかるわ~」って。その感覚ってすごく大事なんじゃないかなぁと。自分たちがやっているこの行動は、絶対にやらなければいけないことではなく。自分自身がやりたいことでなければならないんじゃないかなって。だからこそ、聴く人にパワーを渡せると思うし。

——Zantöの今後の展開というのは?

塔山:先日ナンバーガール時代を振り返る向井さんのラジオを聞いていたんですね。ナンバーガールが最初にメジャーデビュー盤を出すときの話があって、その発売日にはもう次のシングルは最高の形でレコーディングも終え、仕上がっていたという話を聞いて。僕たちもレコーディングこそまだですが、今はもう次のZantöの進化のために毎日みんなでデータ上でセッションして、新しい曲たちを作っています。みんなで揃ってはなかなか会えないのですがGorillazもそういう作り方をしていたので、まっすぐに良い曲を目指して完成させます。


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Zantö
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取材:Shunki Baba
写真提供:溝口元海 – be stupid
協力:okidokei

この記事の執筆者

THE MAGAZINE

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