Candy Makes (you) Strong インタビュー 高い演奏スキルとカラフルな個性がつむぐグルーヴィーなバンドサウンド

2018.8.20

※写真左から、Mamushi(Keyboard)、Yudy(Guitar)、Laco(Vocal)、Yutaro(Bass)、Daisetsu(Sax)、Yu(Drums)

 

一連の配信限定連続リリースの最後となる第4弾「アチィわ」を、先日8月16日にリリースしたばかりのCandy Makes (you) Strong。「かわいくって、つよい」のキャッチコピー通り、ボーカル・Lacoの存在感と関係者も唸らせる各メンバーの高い演奏力がせめぎ合いながら、R&Bとポップロックが融合したバンドサウンドを奏でる6人組。今回は、バンドにとって初インタビューということもあり、メンバー全員に参加してもらい改めてそのルーツや方向性を伺いました。
 
 

集まるべくして集まった6人

 
——— 今日はメンバーのみなさん全員でお越しいただき、ありがとうございます。まず、この6人はどのようにして出会ったんですか?
 
Yutaro (Ba):僕が一時期LAで音楽活動をしていたんですけど、帰国した後、最初の音楽の仕事がLacoちゃんのサポートだったんです。彼女、以前は事務所に所属して一人でシンガーソングライターとして活動していて。
 
Laco (Vo):そうなんです。でも、Yutaroと一緒に音楽をやるのが楽しくて、去年の6月ぐらいにバンドとして活動しようということになって。サックスのDaisetsuも、私が一人でやってるときからサポートをやってくれていたので、まず入ってもらおうと。
 
Yutaro:次に、池袋にSomethin’ Jazz Clubというジャムセッションできる場所があるんですけど、そこでyudyさん、Mamushiに出会いました。
 
Laco:バンドとして音を出す前から実際にそこでセッションをしてるから、どういうミュージシャンかがよく分かるんですよね。スキルや方向性とか音楽の好みも。それでいざみんなでスタジオに入ってみたら、ほんとに不思議なんですけど一発で「これだ!」と思ったんです。「絶対このメンバーでやりたい!」と思って、好きな人に告白するぐらいの勢いでそれぞれを誘って(笑)。それでCandy Makes (you) Strongとして結成したのが去年の7月くらいかな?
 
Yu (Dr):僕だけもう少しあとで、去年の12月に加入しました。
 
Laco:なので、今のメンバーが全員揃ったのはそのタイミングですね。バンドのメンバーごとにパーソナルカラーがあって、ドラムは緑だと勝手に思っていたんですけど、Yuさんがはじめてスタジオに来た時に真緑のTシャツ着てて(笑)。テクニックもすごいし、Yuさんに関しても今こうやって一緒にバンドがやれるのは運命だと思います。
 
——— 音楽の方向性も、みなさん相性が良かったんでしょうか?
 
Yutaro:割とみんな同じで、基本的にはR&Bやファンクですね。
 
Yudy (Gt):とりあえず全員マイケル・ジャクソンは好きです(笑)。
 
Laco:私も小さい時にゴスペルを習っていたり、歌唱法のベースはブラックミュージックなんです。
 
 

それぞれのルーツ

 
——— 先日ライブを拝見しましたが、やはり演奏力の高さが印象に残りました。今日は6人揃っているんで、それぞれ影響を受けたアーティストをお伺いできたらと思います。
 
Laco:私は小さい時に「天使にラブソングを2」を観てすごい衝撃を受けて。そこではじめてゴスペルに触れて、ローリン・ヒルの存在も知り、黒人音楽の素晴らしさに魅了されました。ディーヴァという存在がすごく好きになって、クリスティーナ・アギレラ、ホイットニー・ヒューストン、マライア・キャリー、ビヨンセ、エイミー・ワインハウスとかを聴いて育ちましたね。とにかく歌の上手い女性アーティストに影響を受けました。作曲は高校生の時から始めて、当時ボーカル&ダンススクールに通ってたんですけど、そこでいきなりガールズバンドを組まされて、それがはじめてバンドの経験で、、、あれ、私ばっかり喋ってる?(笑)
 
Yudy:いや、意外と僕らも初めて知るから、なるほどって思ってる(笑)。どうぞどうぞ。
 
Laco:じゃあ続けるね(笑)。そこでバンドで曲を作る楽しさも知って、その時期に、椎名林檎さんにガツンとやられてしまって。
 
——— 確かに、楽曲からその雰囲気は感じました。
 
Laco:あまりその雰囲気が出すぎるのもアレなんで、少しは抑えたいんですけど(笑)。あとは宇多田ヒカルさんにも影響を受けましたね。なので、邦楽だとその二人が私の中で二大巨頭という感じで。
 
Yutaro:僕は一番最初に好きになったのはハードロックです。特にMR.BIG、ビリー・シーンが大好き過ぎてアメリカにまで渡ったという(笑)。実は、向こうでずっとビリー・シーンを追いかけてたら彼のメールアドレスをゲットして、しまいには友達になれたんです。不思議なことに、仲良くなったら満足しちゃったのかハードロック熱は冷めてしまって。ちょうどその時期教会で演奏をしていて、チャカ・カーンとかスティーヴィー・ワンダーとか少しオールドなR&Bにだんだん好みがシフトしていって、ベーシストだったらAndrew Goucheにハマって。以来、チャーチ系の音楽が好きですね。
 
 
Yudy:僕もギターのきっかけは中学生の時に聴き始めたハードロックで、最初は特にB’zが好きでしたね。そこからは王道で、ガンズ・アンド・ローゼズ、MR.BIG、ボン・ジョヴィ等を経由してからのドリーム・シアター 、イングヴェイ・マルムスティーン辺りの速弾きにいった後、当時ギターのレッスンを受けていた先生がジャズ・ギタリストだったこともあって、ジャズやファンクに至りました。今だとジョン・スコフィールドやトム・ミッシュが特に好きです。レッド・ツェッペリンやYESも未だに好きですけどね。
 
Yu:ドラムは、ディープ・パープルとか正統派ロックからでしたね。次第にビリー・ジョエルやスティングなどの、いわゆる90年代の歌ものに傾倒していって、そういうドラムをやりたくなって。そして、カーク・フランクリンをはじめとしたアーバン・コンテンポラリー・ゴスペルにたどり着くという流れです。
 
——— なんだか好きなものが同じ方向に収束していって面白いですね。
 
Mamushi (Key):僕は音楽教室に通っていて、オルガンからのスタートで。鍵盤を3台使って、ジェームス・ブラウンなどのファンクをひたすら弾くっていう。あと、ずっと家でファミコンやってるオタクだったんで、ゲーム音楽が好きでドラクエやFFの音楽もコピーしてました。その後、やっぱりネットにハマって、sasakure.UKとかのボカロPやチップチューンが大好きになるんですけど、途中でちょっと鍵盤が嫌になって、叩けないくせにドラムでメロコアやパンクに寄り道してしまったり。でも、やっぱり鍵盤に戻ってSNSで知り合った歌い手さんのニコニコのライブでサポートで弾いたりしていました。
 
——— では、トリのDaisetsuさんお願いします。
 
Daisetsu (Sax):親がロックやR&Bが好きだったんでそういう影響を受けつつ、中学校2年生の時に親父がスムーズジャズのサックスプレイヤー、ケニー・GのCDを買ってきたんです。それがすごいかっこよくて「これやりたい!」って無邪気に言ったら、その1週間後に親父が「買ってきたよ」って突然サックスを買ってきたという(笑)。それでサックスをはじめて吹奏楽部に入ったんですけど、ほんとにやりたいのはスムーズジャズとかT-SQUAREとかのJフュージョンだったんで、吹奏楽ではなんか浮いてて(苦笑)。結局、高2の時にやめちゃうんですけど、講師で来てた鍵盤の先生がブラック・ミュージックの人で、「やめるんだったら一緒にやろうよ」って誘ってくれて、そこから今につながる音楽活動を本格的にはじめました。今でも一番好きなのはスムーズジャズなんですけど、R&Bも好きですね。
 
 

多彩な楽曲 × 気持ちいい語感の歌詞

 
——— みなさんそれぞれの楽器歴や好みの経緯を聴くと、もうこれは集まるべくして集まった6人という感じですね。先日、今回のデジタル限定シングル連続配信の4作目となる「アチィわ」をリリースされていましたが、どのシングル曲もしっかりした演奏に裏付けられつつ非常に多彩な曲調でした。その中で、歌詞の部分ではどういう内容を伝えたかったりしますか?

 
Laco:歌詞のことを質問されるって、なんか恥ずかしいですね(照)。正直、あまりロジカルに考えられないタイプなんで、歌詞を書く時もそんなに深く考えてないんですよ。歌詞を考える時は9割方お風呂にいるんですけど、お湯に浸かりながら歌詞がおりてくるのを待つという(笑)。
 
全員:(笑)。
 
Laco:ガールズバンドの時は応援ソング的な歌詞を書いていたんですけど、最近はその反動なのか、ちょっとエロい歌詞を書きたいっていうのがあって。例えば「gimme gimme」は処女を奪われる女の子のことを歌っていたり、「クチドメ」は不倫の歌ですし。ちょっと背徳的なことを曲にするのが、この頃は好きですね。もっというと、エロすぎず、でもある種の性的快感に近いものを感じさせるような曲を書きたいんですよ。だから、歌詞も語感自体で聴いていて気持ちいい響きを選んでいます。
 

 
——— 感覚を伝えたいというのがあるのかもしれませんね。
 
Laco:ただ、これからはそういう感じだけじゃなくて、大人なパーソナルなことやライフスタイルのことも曲に落とし込んでいけたらと思っています。歌詞に関しては、男性に向けてというより女性向けに聴いてほしいと思って書いているんで、共感してもらえた時はやっぱりすごい嬉しいですね。
 
——— 同性の共感を得られるというのは強いですよね。
 
Laco:影響を受けたディーヴァ達みたいに、女の子の憧れになりたいんです(笑)。
 
 

バンド名の由来とブランディング

 
——— バンドのキャッチコピー「かわいくって、つよい」はどなたが考えたんですか?
 
Yutaro:それは僕が考えました。そのままのLaco自身と歌詞の内容、あとは音楽性も含めて単純にその言葉が思いついて。「つよい」っていうのは、僕らは女性ボーカルのバンドではあるんですけど、サウンドはゴリゴリでグルーヴがあったりするんで。
 
Yudy:最近は楽器をやってる男の子のファンも多いみたいなんですよ、コピーしてくれたり。DaisetsuはSDwindsというサックス奏者のグループのリーダーで #SD_Challenge をSNSで主催していて、それがすごく人気だったり。
 
Mamushi :僕は別の仕事でエロゲー用に作った音楽をコピーされてます。
 
Laco:そういうこと言わないの!(笑)。
 
——— 結成が去年の7月頃ということですが、最初の音源はそれから本当にすぐに出されていましたよね。
 
Yutaro:もうメンバーを集めながら曲を作ってましたね。とにかくまずは早く音源を出そうということで。
 
Mamushi :バンドに入ってすぐ譜面を渡されるみたいな感じでした。
 
——— デジタルで連続配信リリースをしようと思ったのはどうしてですか?
 
Yutaro:もともとアルバムを出そうとしていたんですけど、今ってもうあまりアルバムを通して音楽を聴かないじゃないですか。だから、アルバムにしようとしてた8曲をバラして、カジュアルかつ深く聴いてもらえるようにデジタルシングルとして続けて出そうってみんなで話して。
 
——— アートワークも凝っていて、飾れる歌詞カードを作ったりもされていますよね。
 
Laco:アートワークにはすごくこだわっていて、スタッフにカメラマンとデザイナーのチームもいるんですよ。一番最初のEPのときから一緒にやっているんですけど、ビジュアル面のコンセプトに関しては、その二人に要望を伝えて、考えて作ってもらっています。
 
Yudy:特にジャケットは毎回こだわってますね。
 
Laco:当初からジャケットに関してはメンバーの顔は出さないようにしていて、女性ボーカルが全面に出るというより、もうちょっと雰囲気のある感じで見せていきたい、というのはありましたね。あと、バンド名にキャンディがつく通り、ポップでカラフルにしたいというのはあって、これまではリリース毎にジャケットのテーマカラーを変えてきたんです。
 
 
——— ちなみにバンド名の由来は?
 
Yutaro:バンド名は決まるまで2ヶ月ぐらいかかりましたね。最初はなぜか「ブリリアントポセイドン」とか言ってて(笑)。
 
Yudy:そのインパクトを超えられる名前が中々出てこなかったんだよね(笑)。
 
Yutaro:それで、僕ポケモンが好きなんですけど「ふしぎなアメ」ってあるじゃないですか。
 
Laco:それをポケモンが食べると1つレベルが上がるんですよ
 
Yutaro:それがかわいくて、英語にしたらいい感じで。
 
——— そうなんですね、てっきりスラングから来てるかと。
 
Yutaro:それは違います(笑)。
 
Laco:ちなみに、youが括弧でくくられているのは、Yutaroが「youはあってもなくてもいいよ」という意味で括弧をつけてこのバンド名を送ってきたんですけど、「括弧があったらめっちゃかわいいやん!」って思って、敢えてこの表記にしました。
 
Yutaro:付け加えるなら、このバンド名だとSEOとかタグづけでも差別化できていいという部分もありました。
 
Laco:長いバンド名なんですけど、今はみんな「キャンスト」って呼んでくれてます。
 
——— また、次のアルバムとMVに向けてクラウドファンディングを予定しているそうですが。
 
Yudy:今は特に事務所がついてるわけでもなく、インディペンデントで活動しているので、そうなるとやっぱり経済的に大変な部分もあり、、、(笑)。
 
Daisetsu:お金なんかないんですよ、そもそも(笑)。
 
Yudy:結成して1年やってきて気付いたことも多くて、色んなことにもチャレンジしていかなきゃいけないなと。やっぱりある程度続けてみて初めて見えてくる部分もありますね。
 
 

フラットにバンドが好きなファンにも届けていきたい

 
——— 自分たちで活動していると色々大変なこともあるかと思いますが、その中にあってもバンドとして線引きしていることはありますか?
 
Laco:握手会やチェキ会はさすがにやめとこうと(笑)。
 
Yudy:女性がボーカルだからといって、アイドル感を出すのはちょっと違うと思っていて。「シンガーソングライターとそのバックバンド」みたいな感じになるのは一番避けたいんです。ちゃんとバンドとして見せていきたいので、曲もそういう方向性で作れるようにシフトしていきたいって話しているところで。
 
Laco:どうしても女性ボーカルの対バンとかブッキングが多くて、それはそれでいいんですけど、もっとフラットにバンドが好きなファンにも届けていきたいというのはありますね。
 
Mamushi:普通にバンドのブッキングに突っ込んでもらっても全然ありがたいです。
 
——— よく対バンするバンドはいらっしゃいますか?
 
Yutaro:この音楽性とスタイルでバンドでってなると、意外と近いバンドがいないんですよね。
 
Laco:雰囲気的にチルでオーガニックな方向性のバンドとも、今後もっともっとやっていきたいと思ってます。
 
——— バンドとしてのゴールはどういう風にお考えですか?
 
Laco:みんなスキルもあるし、それぞれで活動しながらも、集まったらすごくかっこいいというスタイルが理想ですね。海外での活動も視野に入れつつ、とにかくまずは会場のスケールをどんどん大きくしていきたいです。
 
——— では、最後にせっかく6人いらっしゃるんで、一言ずつお願いします。
 
Daisetsu:SDチャレンジ!
 
全員:いやいや(みんなでツッコミ)。
 
Laco:ライブに来てくれる方、SNSでチェックしてくれる方、音楽を聴いてくれる方、ほんっとうにありがとうございます!常日頃からすごく感謝していますんで、今後もぜひよろしくお願いします♡。
 
Yutaro:こんなに世の中にたくさんアーティストがいる中で、僕らに少しでも興味をもってくれることがありがたいですね。これからもアクティブにやっていくんで、みててください。
 
Yudy:いつもありがとうございます!に尽きますね。これからも、もっとかっこいい音楽を届けることができたらと思ってます。
 
Yu:キャンストを好きでよかったと思ってもらえる人を、もっと増やしていきたいです。
 
Mamushi:この記事を読んでいただいてありがとうございます。全然関係ないんですけど、この間、クローゼットを開けたら高かったミリタリーのコートとカバンがカビてたんで、みなさんも湿気には気を付けたほうがいいと思います。
 
Laco:ちゃんとして!(笑)。
 
Daisetsu:僕も部屋の片付けをしてたら、ずっと探してたものがでてきたんで、定期的な掃除は大事だなと思いつつ、、、最後は真面目に、僕らのライブは来ていただければ絶対に楽しめると思うんで、今後もよろしくお願いします!

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