sui sui duck インタビュー | シンプルとお洒落を追及 「どこまでも自分達らしくある音楽を」

2017.2.28


sui sui duck - L to R : 堀内(Gt),渋谷(Vo/Gt),安達(Dr),小湊(Ba)
sui sui duck – L to R : 堀内(Gt),渋谷(Vo/Gt),安達(Dr),小湊(Ba)

2015年に結成され、都内を中心に活動する4人組ロックバンド・sui sui duck。オントレンドかつアーバンなサウンドで、耳の早いリスナーを中心に人気上昇中。今回は音楽のルーツや結成の経緯から、演出やアートワーク、クリエイティへのこだわりについてまで、お話を伺いました。

 

結成の経緯

——まずバンドの紹介からお願いいたします。

渋谷:sui sui duckは、2015年結成、ライブ活動は2016年4月から、初音源を出したのが2016年12月という、とても最近できたバンドです。メンバーは、ベース以外の3人は高校から一緒で、軽音部の先輩後輩で、元はそれぞれ別々のバンドをやっていたんです。

——最初は高校が同じ3人で音楽を始めたのでしょうか?

渋谷:最初は、僕と安達と前のベースでやっていて、9月くらいに堀内が入って。ベースは前のメンバーが海外に行ってしまって、新メンバーの小湊がちょうど今日加入しました。

——すごいタイミング(笑)。みなさん普段はどんな音楽をお聴きになるのでしょうか?

小湊:私の場合、音楽の入りはYUIだったんですけど、初期のきのこ帝国、THE NOVEMBERSあたりが好きで。最近は、Bonoboやディアンジェロ、ジャミロクワイとかも好きです。ちょうどこの間2か月前くらいにsui sui duckと対バンしてかっこいいなと思って見てたんですけど、まさか自分が加入するとはという感じですね(笑)。

堀内:ギターを始めたきっかけはYUIですね。

渋谷:なんでこんな俺らYUI推しなんだろう(笑)。

堀内:高校で軽音部に入った時は、東京事変が1番好きでした。あとはフジファブリックも好きで。

——90年代生まれ世代感ですね。

堀内:世代ですね。最近は、洋楽をいっぱい聴きます。

——Foster the peopleとか、若干sui sui duckっぽさを感じます。

堀内:その感じやっぱりありますかね(笑)。それはよかった。Foster the peopleを聴いて初めて「洋楽いいな」ってなったんです。

安達:僕は最初スピッツからで。

渋谷:あれ?

安達:あっ(笑)じゃあYUIで。YUIしか聴いてないです。

——お気になさらず(笑)。

安達:高校生の時はRADWIMPS、Red Hot Chili Peppers、aikoとかを聴いてましたね。

渋谷:今sui sui duckやってるとは思えない(笑)。

安達:このバンドを始めてからは、電子系の音楽教えてもらったりして、聴いてますね。ジョン・メイヤーとか。

渋谷:俺はお父さんが元々ミュージシャンだったので、その関係で古い洋楽ばっかり聴かされてました。ギター始めたきっかけがイーグルスとかジミヘンとか。中学の時はイーグルスとアヴリル・ラヴィーンをひたすら弾いてたな。

——そのようなこれまで聴いてきた音楽は、今の曲作りに反映されていますか?

渋谷:めちゃくちゃ反映されてますね。パクリかっていうくらい(笑)。Miami Horror、Justice、Daft Punkとか。ポップな感じはYUIだったり、J-POPにも影響受けてます。高校に入ってからはUK寄りになって、フランツ・フェルディナンドとかクークス、Daft Punkも結構聞いてた。あと、Perfume。多分人生通してずっと好きです。オートチューンをかけたのもPerfumeの影響だったりしますね。

——この間のライブでも、曲の途中でDaft Punkの「Digital Love」にいきなりつがる流れがありましたね。

渋谷:完全にふざけ倒しました。最高でしたね。

 

こだわりのコンセプト作り

——作詞作曲をされている渋谷さんは、曲作りはどんな風にされているんでしょうか?

渋谷:基本的に、1つのアルバムを出すことになったら、先にアルバムのコンセプトを決めて、それから連想しながら作っていくことが多いです。最初はすごく抽象的かな。前の『Run』と『Walk』は、それこそ走る時に聴きたい曲、歩く時に聴く曲っていう風に統一したくて。次のコンセプトも決まっていて、今はそれに向けてひたすら作っています。「キューピーマヨネーズの曲良くない?サラダが美味しく見えそうな曲とかいいよね」、みたいな話をしながら。漠然としながらもだんだんと自分達のサウンドにしていく。大事なのはコンセプトですね。

——コンセプトありきなんですね。曲単体から作って積み上げる、というよりはアルバムっていう大きいものを完成させるというイメージですね。

渋谷:アルバム全体に関わってくるので、1曲ごとの良さより、自分達らしさやそのアルバムに合うかどうかを優先することが多いですね。

——いわゆる“コンセプトアルバム”を作るような感じなんですね。

渋谷:コンセプトがあったほうが俺らは曲ができますね。今まで貯めた曲で2アルバムくらいできるくらいの量はあるんですが、それを寄せ集めるだけでは自分たちが良しとしないというか、コンセプトが決まってないから曲がバラバラになっちゃうんだなって気づいて。それ以来コンセプトを先に絶対決めて作る。後々世界観が違うなってならないためにも。大事ですよね。

——アレンジは、どのようにやっているんでしょうか?

渋谷:俺1人でやるのがほとんどな気がするけど、みんなでやることも時々ありますね。みんな良いフレーズを持ってるので、そういうのは取り入れてます。基本はドラムまで打って持っていく。

安達:最近のデモはクオリティが高いです。

渋谷:家でひたすら作ってますね。作って、寝て、また作る、みたいな。


 

バンドとして表現する世界観

——ストイックな過程ですね。バンドの世界観や、アルバムのイメージという部分をとても重視されているんですね。

渋谷:めちゃめちゃ重視してますね。世界観は重すぎず、でもアルバムのコンセプトには沿ってて自分達らしいサウンドということを、どこまでも大事にしている。

——言葉で表すことが難しいと思うのですが、その世界観を具体的にいうと?

渋谷:めっちゃ極端に言えば、「シンプルにお洒落でわかりやすい」というのが大前提にありますね。商品説明みたいになっちゃった(笑)。ごちゃごちゃしないというか。激しいシンセとか使わないよね?最近ヒップホップとかエレクトロでもダブステップとかEDMみたいな、激しいシンセでやっていたこともあったんだけど、あんまり肌に合わなくて、自分達ってこういうキャラじゃないなって。バンドの名前もかわいい感じだし、みたいな。

——お洒落、ですよね。本当に。

渋谷:そうなのかな(笑)。

小湊:うん、私もバンドに入る前、見ていてお洒落だと思いました。家具屋さんみたいな感じ。

——なんだかその感じわかります。

渋谷:俺らバンドでめっちゃIKEAとか行くんです。本当にそういう世界観。木目調の机と合うような。

堀内:聞き流せるような。

渋谷:うん。

——アートワークの素材や雰囲気と、音楽のイメージの一体感ですね。

渋谷:それをどこまでも結びつけていこうっていう気持ちがあります。次のアルバムのコンセプトが「Think」になる予定なので、「Think」は頭で考えることなので、「帽子」とか。「Feel」だったら、心や心臓かな、と思うので、トップス?肌着か?裸か?みたいな。素材じゃないけど(笑)。

 

バンドのイメージ、そして歌詞について

——お洒落なバンドはたくさんいますけど、「音楽」と「ファッション」2つの要素を結びつけるクオリティがsui sui duckは高いですよね。

渋谷:もともと、「ファッション&ミュージックの2つを結び付けたい!」みたいな感覚は最初から強かったですね。

——勝手なイメージですが、雑誌のようというか。

渋谷:確かに雑誌っぽいのかも。

——詞には日本語も英語も混ざっていると思うんですが、その区別もしているんでしょうか?

渋谷:自分的にも憧れがあったんですけど、最近は自分の技術的にも日本語の方が表現しやすいなと思って。前まではベースが海外志向が強くて英語でもやっていきたいというのがあって、全部英詞でやっていたので、その雰囲気は壊さずにいつつ、良い感じに日本語英語が混ざるように気を付けてます。

——洋楽の要素とJ-POPの要素うまく混ざっている感じですよね。

渋谷:今一番うまく取り入れられてる気がする(笑)。声が中性的なので、あまり男らしいことを言わないとか。あとは、たまに毒づく。新しい曲は、ニュースを見て作ったりしているので。

——その時思ったことを歌詞に落とし込む感じですか?

渋谷:そうですね。自分達の音楽が本当に身近にあってほしいというのがあるので、あまり浮世離れしたことは書かないようにしてます。「日常的かつ毒」っていうコンセプトは強いですね。

——ポップからロック、エレクトロまでも混ざっているsui sui duckの音楽のルーツがなんとなくわかってきました。

渋谷:けっこうギターロック要素も強いので。それはギターを始めたきっかけの音楽がギターロックだったからっていうのはありますね。シーズンによって聴いている音楽が違くて、アルバム出す前に聴いていた音源が自分達の曲に反映されすぎちゃうこともありますね(苦笑)。

——機材や制作環境では、どんなものを使っていますか?

渋谷:基本PCはcubaseで、ハリオンとコンプリート10、Native Instrumentsのものを使っています。ソフト音源だと本当にメジャーな2つのソフトで作っています。あとは、電子ドラムで録音していたり。


 

「sui sui duckというブランドを確立したい」

——渋谷さんがやっている音楽日記も、面白いですよね。シューゲーザーっぽいものや実験的なものから、もうイントロにできそうな完成度のものからいろいろあって。

渋谷:ちょうど今制作時期とかぶってしまってやってないんですけど、基本は毎日アップするようにはしてます。

——始めたきっかけは何だったのでしょうか?

渋谷:なんか、去年に劇中の曲やドラマ、アニメーションとかに曲つけてよ、という依頼がけっこう多く舞い込んできて、その時に曲を貯めておいたほうがいいなということと、曲は毎日作っているので、どこかに出さないのもったいないなと思ったから、「じゃあやろう」と。毎日気軽に10分~1時間ぐらいで作ってやってます。毎日動いてる感じもあるしね。

——表に出してみてリアクションはいかがですか?

渋谷:ちょいちょい来たり来なかったり、撮影をやっている友達からは劇中でこの曲使わせてよということが舞い込んできたりとかですかね。

——これからの楽曲にとり入れていきたいことはありますか?

渋谷:日記で色々やっているので、バンドにとり入れるとしたら何かな、と思うんだけど、曲というよりもCDジャケットとかの方でとり入れたいことが色々あります。自分達のコンセプトの中で、“着るような感覚”っていうことがある。曲もファッションの一部みたいな部分がかなり強くて、ジーンズの生地をジャケット写真にしたり。どこまでも素材みたいな感じを取り入れてる。

——アートワークもMVも音楽とすごく合っているな、と感じました。アートワークを担当していらっしゃる高橋一生さんとはどのように一緒にやることになったんですか?

渋谷:最初は、他のバンドの担当をしていた方なんですが、sui sui duckの音源を聴いて、アートワークやりたいって向こうから言ってくれて。こっちもアートワークできる人を探していたので。けっこうすんなり決まって、今はもう高橋くんにすべてアートワークは任せっきり。ライブのVJからMVまで。

——確かに、ライブでは視覚的なアプローチが印象的でした。

渋谷:そこは特に高橋くんが相当こだわっていますね。「sui sui duckは演出大事だから!」みたいな(笑)。前は普通に照明だけでやってたんですけど、なんだか合わなかったんです。すごく細かくやっても、どうしても自分達の求める迫力とは違ったりして。だったら自分達で全部やってやろうと思い、照明を全部切って、VJオンリーで。

——皆さんが理想としているアーティストやアーティストイメージはありますか?

渋谷:理想としているバンドっていうのは、いないっちゃいないかな。自分達でこうしていきたいという気持ちのほうが強いのかもしれない。sui sui duckとして1つのブランドを確立したいなっていうのがありますね。

——対バンとかをしていく中で、気になる存在のバンドはいますか?

渋谷:一緒にやりたいバンドは無数にいます。逆に浮いちゃうんです。こういうバンドいそうでいなくて。

——LUCKY TAPESとかは、対バンしていたら合いそうだなって勝手に思いました。

渋谷:あいそう!普通に大好きで聞いているし。

堀内:Lucky Kilimanjaroとか。

渋谷:あうね!あとはDATS。僕が別でもうひとつやっているバンドは、DATSのギターとやっているので、彼らとはやりたいな。

——それでは、最後にこれからの展望をお聞かせください。

渋谷:まずリリースがあるのでそれに向けて、ひたすら曲作りですね。来月は川沿いで合宿したりするんで。目標としては、年末に渋谷WWWでライブをすることですね。お客さん、というよりかは自分達の表現の場をとにかく広げていくのが今の目標ですかね。今は準備!


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この記事の執筆者

TuneCore Japan Official Ambassador

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